教科の学びでのポイント
単元の目標
- 古文について、内容の大体を知るとともに、語感や言葉の使い方に関心をもつことができる。
- 昔の人のものの見方や感じ方を参考に、自分が感じたことを文章に書き表すことができる。
- 書いたものの表現の仕方に着目して助言することができる。
プログラミング的思考とのつながり
本単元では、「枕草子」につづられている秋の風景を Scratch を用いて動画に表すことで、秋の風景についての読み取りを行う。プログラミングを行うことで、古文独特の表現や一つ一つの言葉の意味に注目したり、間を意識したりしながら、清少納言が書き表した情景についてより深く考えられるように指導を進めたい。
また、本時は、教師が Scratch で作成した「枕草子」の試作品のプログラムをさらに良くするにはどうしていくかについて話し合い、児童たちが改良していくことで、動画作成を進めていくことができるようにする。児童たちは、「枕草子」の情景を動画に表現しようとする過程で、プログラミングの基礎的な技能を習得するとともに、さまざまな記号を組み合わせたり改善したりしながら論理的に考え、自分の意図する動きを表現する中で、「プログラミング的思考」を養っていくと考える。
評価規準
関心・意欲・態度 | 書くこと | 伝統的な言語文化と
国語の特質に関する事項 |
・ 秋を表す言葉に興味をもっている。 | ・ 言葉が表す感覚や様子を理解し、それを使って文章を書いている。
・ 書いた文章を読み合い、表現の仕方に注目して助言している。 |
・ 大体の意味や情景を思い浮かべている。
・ 語感や言葉の使い方に関心をもっている。 |
単元について
本単元は、清少納言の「枕草子」や、日本で古くから継承されてきた季節に関する言葉に触れることで、先人のものの見方や感じ方について考えを深めたり、季節を多面的にとらえる楽しみを見つけたりすることを目指したものである。
まず、「枕草子」につづられている秋の風景についての文章を読み取ることで、先人たちの感性に触れ、古文の語感や言葉の使い方について関心をもつことができるようにする。また、日常生活で児童が触れる機会が少ないと思われる「天高く馬肥ゆる秋」や「秋の夜長」などの古くから伝わる「季節の言葉」についても取り上げ、積極的に児童の語彙を広げるようにする。
そして、「枕草子」を参考にしたり「季節の言葉」を用いたりしながら、自身が秋を感じるものや様子を文章に書き表すことで、古くから伝わる言語文化を受け継ぎながら、自らの感性で季節を表現する力を育みたい。
学習指導計画(全4時間 うち本時1時間は学校裁量の時間)
時 | 学習活動 | 〇留意点 ☆評価 |
1 | 「枕草子」につづられている秋の風景や、秋に関する「季節の言葉」について学習する。 | 〇 古文や古くから伝わる「季節の言葉」から、多面的に秋について考えられるようにする。 |
2
3 本時 |
「枕草子」につづられている秋の風景をより深く読み取り、Scratch を用いて動画に表す。 | 〇 教師の作った試作品のプログラムを改良するにはどうしたらよいか話し合うことで、「枕草子」の情景についてより深く読み取ることができるようにする。
〇 児童がプログラムを改良していく際に、必要と思われる素材を用意しておく。 ☆ 清少納言の表現や言葉に関心をもち、より深く「枕草子」に表された情景を読み取ることができる。 |
4 | 自分の感じる秋らしいものや様子を、文章に書き表す。 | ☆ 清少納言の表現を参考にしたり、「季節の言葉」を用いたりしながら、秋らしいものや様子を表現することができる。 |
本時について
1.目標
「枕草子」につづられている秋の風景を Scratch を用いてプログラムして動画に表現し、文章に表されている情景や様子についてより深く考えることができる。
2.展開
時間 | 学習活動の流れ
予想される児童の意見(・) |
教師の支援(〇) 評価(☆)
プログラミングに関する支援(●) |
|
5分
|
1 「枕草子」の秋の風景について振り返り、Scratch でつくられた試作品の動画を見る。
|
〇 試作品の動画を見せ、目当てへの意欲を高める。 | |
30分
|
2 試作品の動画のどのようなところを直したらよいかについて話し合う。
・ 動画が進むスピードが速すぎる。もっと間を置いて雰囲気を表したいな。 ・ 「いとをかし」を表現できたらいいな。 ・ 少しずつ夕日を山に近づけたいな。 ・ 「風の音」や「虫の声」を入れたいな。 ・ 「日、入り果て」ということは、場面を暗くしないといけないよ。 ・ 雁を「いと小さく」表したいな。 3 思い通りに登場人物を動かすための命令の仕方について、学び合いながらプログラミングする。 ・ 動画のスピードを変えたり、間をつくったりするには、この命令を使うといいよ。 ・ 「あはれなり」のあとには、しっかり間をとって、雰囲気を味わいたいな。 ・ もっと簡単なプログラムの方法はないかな。 ・ 2つの命令を組み合わせるといいよ。 |
〇 「枕草子」につづられている言葉に注目したり、言葉の意味を考えたりすることで、より深く情景が想像できるよう支援を行う。
〇 学び合いの中で、子どもたちが工夫したプログラムやより簡潔なプログラムの方法を紹介する。
● 児童がプログラムを改良していく際に、必要と思われる素材を用意し、適時提示して支援を行う。 |
|
10分
|
4 できた動画を発表し合い、次時さらに良くしたらよいところや、工夫したところについて話し合う。
|
☆ 適切なプログラムで、自らの感性で秋の風景を表現することができたか。 |
子どもたちの作品
その1
その2
その3
準備環境
使用したプログラミング言語や実行環境
教室の設備
振り返り
児童の感想
・ 先生にアドバイスをもらう前に、自分たちでいろんな発想ができてよかったです。また、その発想を表現できて楽しかったです。
・ 清少納言が見たのはこんな風景だったのかなと考えて、工夫したのが面白かったです。
プログラミングに触れる機会がほとんどなかった児童たちが、授業を通してどんどんプログラミングを進めていく姿に、私自身が驚かされた。プログラミング教育は、これまでできなかった新たな指導の手段を与えてくれるものであり、工夫次第で子どもたちが夢中になって試行錯誤しながら技術を高めるものであると感じた。 西条市立国安小学校 越智 達哉教諭
(特非)みんなのコード 主任講師 竹谷 正明
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。