漢字の組み合わせ×プログラミングで、ゲームをつくりながら漢字を覚えよう!

 

教科の学びでのポイント

  • 漢字の部首と部首を組み合わせると別の漢字になるというゲーム作りすることで、児童が楽しみながら様々な漢字の組み合わせを考え、様々な漢字に興味をもって学習します。
  • ゲーム作りをテーマにすることでふだん学習への意欲が高くない児童でも積極的に取り組めます。

単元の目標

プログラミングを通して漢字の構成について理解することができる。

実践の概要

本単元では、漢字の構成を考えることを通して、漢字の理解を深めていく。また、偏や旁、部首などの組み合わせを探すことでたくさんの漢字に親しませていく。

 児童はこれまでに、約200文字の漢字を学習してきた。その中で、新出漢字を学ぶ際に既習漢字の組み合わせになっていることに気づいたり、教科書や漢字ドリルで漢字と漢字の組み合わせ問題を解いたりしており、概括的に漢字の構成について考えてきている。

 このような既習事項を想起しながらたくさんの漢字の中から適した漢字を探したり、実際に漢字と漢字を合体させたりすることで体験的に学ぶとともに、プログラムする過程で自然と漢字の理解を深められるよう指導したい。

プログラミング的思考とのつながり

 低学年の児童にとって単に漢字覚えることは難しい。そこで「立」と「日」で「音」といった、字と字が合体して違う字になるというように指導することが多い。しかし、実際の学習では、それらを想像しながらノートに漢字を書くということでしか手立てがなかった。

 本実践では、シューティングゲームのプログラムを組んでいく中に漢字を合体させる必要があり、児童自身が漢字の構成について考えることができる。また、実際に目の前で2つの字がぶつかり、違う字になるということを実体験することができる。

 児童は“ゲームを作る”というゴールを目指しているが、完成した時には自然と漢字を覚えられている。同じ部首をもつ字を複数入れたり、3つの字を合わせて1つの字にしたりするなど、ゲームを発展させるうちに、たくさんの漢字を覚えると同時に、プログラムに必要な手順や約束を身につけていく。

 漢字を覚えるためにプログラミングをするのではなく、プログラミングを通して、漢字を覚え、プログラミング的思考へとつなげることが、本実践でのねらいである。自分が意図した漢字をつくりたいときに、どんな漢字を組み合わせればよいのか考え、いくつかの漢字に共通の部分があることに気づくなど、プログラミングを通して漢字の構成の理解を深めることができる。

全体指導計画(全体4時間計画)

1:合体漢字について知る。(教科書)

2:シューティングゲームの基礎プログラムを知る。

3:発展的なプログラムを使ってシューティングゲームを工夫する。

4:カンジーシューティングを作る。

 

本時の展開

 

学習活動 指導上の留意点
1.前時の活動を振り返る。


2.漢字と漢字を組み合わせて違う漢字ができることを知る。

3.めあてを確認する。

・シューティングゲームのプログラムを確認する。

補足
ビスケットという無料のオンラインサービスの基本的な使い方を児童と確認します。ビスケットの詳細はページ下記をご覧ください

・シューティングゲームのプログラムを漢字に置き換えてもできることに気付かせる。

補足
ビスケットは、メガネ(◯の形が2つあるもの)の中に絵をいれて動かします。最初は児童が自分の絵を3~4種類描いていたものを、漢字の「山」「石」と描いて、この偏と旁で1つの漢字ができることを気づかせます。
4.プログラムの変え方を知る。

5.プログラミングする。

 

6.作品を発表する。

7.発展的なプログラムを知る。

8.作品を発表する。

・ビーム→漢字①(例:山)

・敵キャラ→漢字②(例:石)

・合体後→漢字③(例:岩)

補足
最初シューティングゲームの際に設定していた「ビーム(黄色の雷)」を「山」に置き換えます。同様に他の敵キャラは「石」と置き換え、合体後(偏と旁がぶつかったとき)は「岩」になるようにします。

 

・教科書やドリルを見て漢字を探すようにする。

補足
漢字③のぶつかったときの漢字の素材を探します。偏と旁は同じでも、違う漢字になることを気づかせます。

 

・タブレットの画面をテレビに映す。

・作品やプログラムについて発表させる。

・「触ったら」のプログラムを複数入れることで同時に違う漢字を発射したり、絵を動かしたりできることを知らせる。

・自分なりに工夫してプログラミングできるようにする。

・タブレットの画面をテレビに映す。

・作品やプログラムについて発表させる。

9.学習を振り返る。 ・できるようになったこと、わかったことを発表させる。


準備環境

使用したプログラミング言語や実行環境

  • 教材名:viscuit(ビスケット)
  • 教材の特徴:難しい言語やブロックを必要とせず、指で直接タブレットの操作ができる。

教室の設備

  • 実施場所:2年5組教室
  • ICT環境:タブレットが40台、無線ルーター
  • 児童1人1台のタブレット

授業で使用している「ビスケット」とは

ビスケットは、インターネットに繋がっているタブレット・スマートフォン・パソコン等のどの環境でも無料で使えるサービスです。

ビスケットは自分で描いた絵と「メガネ」というツールだけでプログラミングをします。

操作は非常にシンプルで、ステージに自分で描いた絵を、メガネの中にその絵をいれると、動いたり違う絵に変わったりします。

ビスケットの使い方は下記本を参考にしてみてください。

参考 できるキッズ 子どもと学ぶ ビスケットプログラミング入門(できるキッズシリーズ)amazon

振り返り

児童の感想

 

はじめに「日」と「生」で「星」というかん字を作りました。つぎに「日」と「青」で「晴」というかん字も作りました。もっとほかにも作りたいです。

・前に出てはっぴょうしたら先生にほめられてとてもうれしかったです。これからもビスケットをつかっていきたいです。

同じぶぶんのかん字がたくさんあることがわかりました。もっとビスケットのべんきょうをしていきたいです。

ふねの絵でカンジーシューティングを作りました。先生に「うまい!」と言われてうれしかったです。

カンジーシューティングを作ってかん字とかん字がぶつかったらちがうかん字になるのがおもしろかったです。

上手にできてうれしかったです。もっとれんしゅうしてうまくなりたいです。

 

 タブレット操作が簡単で、プログラムの数も少ないため、学習意欲の低い児童や学習が苦手な児童も積極的に取り組んだり、豊かな発想力を発揮して活躍したりするなど、誰もが楽しみながら活動することができました。また、自分の作品を発表し合うことで友だちから認めてもらったり、友だちの工夫を聞いて自分の作品に活かしたりすることができ、主体的・対話的な深い学びのあるものにもなりました。授業を通して、できた・分かったという勉強の楽しさを味わい、自分に自信をもてるようになったことは大きな成果といえます。 

 児童にとって授業で“ゲームを作る”ことは遊びに近い感覚であり、誰もが意欲をもって楽しみながら取り組める活動です。自分で考えたことが実際に触れたり、動かしたりできることは、効果的な学習成果つながります。答えがわかっていないと問題が作れないのと同様で、答え(今回の場合は漢字)を覚えるのではなく、答えに繋がる過程(問題作り)に活動の重点を置き、最終的に理解につなげていく授業展開にプログラミング学習は適していると感じました。この進め方は、汎用性が高く、今後も様々な教科でも取り入れていきたいです。

兵庫県尼崎市立園田小学校 林 孝茂 教諭

 

講師(特非)みんなのコード 主任講師 竹谷

 漢字を読み書きする力は学力の基礎となるものですが、機械的に覚える学習ではなかなか意欲がわかないものです。多くの漢字が部分の組み合わせで成り立っていることは漢字の学習の中でも重要な内容ですが、受動的に教わるだけではなかなか身に付きません。
 この実践のように子どもたちが主体的な活動を通して学ぶことで理解が深まり新たな気付きや更なる学習への意欲が引き出されることでしょう。自分でゲームを作り、作品について友達に自分の思いを話す活動は、漢字の力だけでなくコミュニケーション能力を高める場にもなります。
 VISCUIT は直感的に操作でき、メガネを組み合わせるとすぐに結果が表示されるので、低学年の児童から活用することができるプログラミング言語です。そして、漢字だけでなく九九やローマ字など別々のものを組み合わせたときの変化を記述することに向いています。本単元以外のところでも類似の活動を組み込むことで、子どもたちの学習意欲を高め、「自分の意図した活動を、動きを表す記号の組み合わせでどう実現するかを考える」というプログラミング的思考を育てることもできます。