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必修化の背景

プログラミング教育必修化のポイント
  1. 2020年〜次期学習指導要領で小学校にて全面施行
  2. プログラミングが教科/単元化されるわけではなく、既存の教科×プログラミングで体験的に学習
  3. どの学年、教科、単元で実施するかは「各学校で判断」

なぜこれからの学校教育にプログラミング教育が必要なのか。

人工知能等の第四次産業革命により、社会の在り方が変わるので、学校教育も変える必要があるからです。特に日本は諸外国と比べて、高度なIT人材が圧倒的に不足しているという危機感があります。人工知能やビックデータなどを担える人材を育成することが、国の成長戦略として欠かせません。今存在する仕事の49%が失われたり、ITに関わる新たな仕事が生まれたりするとも言われています 。普段の生活している中で、AIを間近に感じることは少ないかもしれませんが、現に、弁護士に代わって駐車違反の異議申し立て請願書を作成するAIや、決算サマリーの記事を作成するAIなどが登場しています。このように、単純な作業はAIが行うようになる中で、これからは知識・技能や対人スキルに加えてAIやコンピューターを使いこなす能力が必要になるはずです。このように社会が求める人材が変わるのであれば、現状の教育では足りず、それを育成する学校教育も変わっていかなければいけません。

そもそも、今すでに私達はコンピューターに囲まれて生活しています。教員向けの研修会で「皆さんの家にコンピューターはいくつありますか?」と聞くと「二つ」などと答えるのですが、パソコンやスマートフォンだけがコンピューターであるわけでなく、エアコンや冷蔵庫などの家電にも組み込まれています。家の外に目を向ければ、電車、ICカード、自動車、カーナビ、自動販売機など、挙げれば切りがありません。これだけコンピューターという科学技術の恩恵を受けて暮らしています。

同様に、電気も皆さんの暮らしでは当たり前になっていますが、電気は20世紀の科学技術です。電気は皆さんが学校で仕組みを学んだので誰も魔法だと思うことはありません。

理科の「電気」が教育仮定に導入されていることにより、「社会で広く使われている技術を科学的に理解する」ことに役立っているのと同様、21世紀において、社会で広く活用されているコンピュータについて、その動作原理を科学的に理解するために義務教育でのプログラミング教育が必要と考えられます。

インターネットやソフトを情報収集や表現の道具として活用する「コンピューターの外側」だけでなく、それがどういう仕組みでできているのかという「コンピューターの内側」についても小学校段階で体験的に学ぶことが必要だと思います。そうでないと、ITを活用して課題を解決したり、新たな価値を生み出したりすることが多くの分野で求められるこれからの時代、子ども達が苦労することになるでしょう。

小学校プログラミング教育のねらいは?

プログラミング教育というと、黒い画面に英語を打ち込むようなプログラミングを教えるのか、と思われがちですが、コードを教えることではありません。小学校段階では「子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うように指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育成するもの」と位置付けられています。

ただ論理的思考を養うだけでなく、コンピュータに処理を行うように指示すること(=プログラミング)を体験することなので、アンプラグドだけではなくコンピュータを使用した活動をする必要があります。

どのように組み入れるか?

プログラミングを実施する単元を位置づける学年・教科については、教育課程全体を見渡して各学校が決めるものとされています。

文部科学省が一律導入に踏み切れなかった理由が3つあります。1つ目は、2020年〜2030年の基準を決めるのは無理があることです。プログラミング教育やIT技術は変化が早く、2016年段階で2030年まで見通した施策を出すのが難しいということが、有識者会議でも指摘されました。2つ目は、全国一律の固い基準を設定するのは非効率であることです。すでにICT環境が整っている学校と、そうでない学校等、学校規模、児童の状況など大きなバラつきがあるので一律の基準を設けることは子どもたちのためになりません。3つ目は、時間数の純増は出来ないといった理由があります。そのような理由から、プログラミング教育は単独の教科として新設するのではなく、既存教科に入れ込む形で実施することになりました。

プログラミング的思考とは?

「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要で、記号(指示)をどのように組み合わせたらよいのかを検討する力。さらに、もし間違いがあれば、記号の組み合わせをどのように改善していけば、より意図した動きに近づくのかを論理的に考えていく力」です。プログラミング的思考は特定のコーディングとは違い、この先、情報技術がどのように変化していっても必要とされるもの。情報技術を従来の情報教育のように「良きユーザー」として利用するだけではなく、自分の目的のために能動的に使いこなし、より良い人生や社会作りに活かしていくためにも必要な能力とされており、今後はどのような職業に就くとしても求められる力になるでしょう。小学校段階ではコンピューターの働きを自分の問題解決にどう活用できるかをイメージし、コンピューターに意図した処理を行うよう指示する体験を通して、基礎的なプログラミング的思考を身につけることを目指します。

教科の中でのプログラミング

「教科との親和性」と「プログラミングとしての難易度(児童の難易度+指導の難易度)」の両面から授業を考えていくことが大切です。

教科との親和性が高く、かつ操作や課題の難易度が低いものが良い事例と言えます。(図 Cのゾーン)

 

どのような教科に盛り込むのか

プログラミング教育が盛り込みやすい科目は、次期学習指導要領でも例示されている「理科」「算数」「総合」です。

とはいえ、みんなのコード主催のプログラミング指導教員養成塾の塾生が実践した授業では、英語や国語等もありますので、ぜひプロカリに掲載している事例をご覧いただき参考にしていただければ幸いです。

詳しい小学校でのプログラミング教育のことについては、下記本を是非参考にしてください。

参考 小学校プログラミング教育がよくわかる本amazon