教科の学びでのポイント
単元の目標
ロボットが,実社会でどのように活用されているか調査することで,生活とプログラミングの関係について知り,将来の自分や社会での生き方とつなげて考えることができる。
プログラミング的思考とのつながり
社会科での地域学習などで、子どもたちは大田原市の現在の様子について理解を深めてきた。これまで学んだことをもとに、未来の大田原市をよりよくすることを課題として、総合的な学習の時間の中で子どもたちが探究的な学習を進めていく活動を設定した。この学習をとおして、地域の一員としての意識をより高めていきたい。
今後の社会は、コンピュータをはじめとする技術の利活用を抜きに考えることはできない。実際にプログラミングを体験することによりプログラミング的思考を育成していくとともに、「小学校プログラミング教育の手引」にもねらいとして示されている「プログラムの働きやよさ、情報社会がコンピュータ等の情報技術によって支えられていることなどに気付くことができるようにするとともに、コンピュータ等を上手に活用して身近な問題を解決したり、よりよい社会を築いたりしようとする態度を育むこと 」が実現できるようにしていきたい。
評価規準
知識・技能 | 思考力・判断力・表現力等 | 学びに向かう力・人間性等 |
大田原市も情報科学を取り入れ、安全に住みやすい町づくりをしていることを知ることで、よりよい町づくりのための課題に気付くことができる。 | 町づくりへの市としての思い、地域の人々の願いを知り、立場の違いに注目してその理由を明らかにして、それぞれの考えを解決する方法を工夫することができる。 | 自分とは異なる意見について、先入観にとらわれることなく、その人の立場に立って共感的に粘り強く、その意図や論理の筋道等を理解しようとしている。 |
単元について
3学年社会の「地域学習」「地域の人々の仕事」「土地の活用」の学習や、総合的な学習の時間での市の施設見学を通して、大田原市のよさを知ることができた。さらに、プログラミング体験から、家庭や地域など自分の身の周りにコンピュータが利活用され、その恩恵を受けていること、さらには自分たちで社会を作り上げていく可能性を実感することができた。本単元では、その学びを生かし、大田原市の町づくりをテーマに地域のよさを保ちながら、科学技術を加えることで、よりよい大田原市にしようとする。
学習指導計画(全9時間)
時 | 学習活動 | 留意点・評価 |
1 | ロボットが活躍する場面を知る。
身近なロボットを見付け、どのような働きを しているか知る。
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◇『総合的な学習の時間』で、地域学習を行い地域のよさを発見した。そこから、よりよく、住みやすい町づくり(大田原市)にするためには、どのようにテクノロジー(ロボット)を生活に取り入れていけばよいかを考える。 |
2 | 自分(グループ)の知りたいロボットを決定し、それにについて調べる。 | ◇身近にあるテクノロジーを見直す。 |
3 | ジグソー法により、他へ発表する。
地域に必要なロボットを考える。 |
◇そのロボットがあることでどのように変容するか。よりよくなるのかを明らかにする。 |
4
・ 5 |
ロボットの構想、製作
▽ロボット工作、プレゼン資料づくり |
◇自分たちが考えたロボットの作成を行う。
ロボットの機能だけでなく、フォルムについても考え、自由に工作する。
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6
・ 7 |
プログラミング
まとめ |
◇工作したembotの画像を取り込み、scratchで自分たちの考える動作や機能を表現する。
◇embotで可能な動きを知り、自分たちの考えたロボットの機能の一部をプログラミングする。 ◇自分たちが考え出したロボットの存在が、自身の生活や地域をよりよくするものになったかを振り返る。 ※発表プレゼンの内容の確認 |
8 | 発表・ふりかえり | ◇開発者の額田さんにプレゼンする。
自分たちの考え出した、地域をよりよくするため のロボットの説明と、実現可能にするために必要 な技術を提案する。 |
本時について
1.目標 自分たちが考えたロボットの特長と実現可能にする技術を周りの人に説明することができる。
2.展開
分 | 学習活動 | ◯指導上の留意点 ☆評価 | |
0
5
10
25
40
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■これまでの活動を想起する
・身の回りや地域をよりよくするロボットを考えてきた ・embot で実現できるよう工作したりプログラミングしたりした
■課題をつかむ
・グループごとに場所と embot やタブレットを準備する ・前半担当と後半担当に分かれて分担を確認する
■以下のポイントを落とさずに発表する(前半) ・どんな機能があるか ・実現すると身の回りや地域がどのようによくなるか ・実際の動きを見せる ・プログラムを紹介する ・実現できていないことを実現するためにはどんな技術が必要か
■後半担当と交代する (前半と同様に実施する)
■ふり返りをする ・各グループで考えたロボットのよいところを発表する ・プログラムで工夫していたところを発表する |
◯embot を開発した額田さんを実際に紹介し、意欲を高める。
◯事前に embot とタブレットの接続を確認する ◯掲示資料はパネルに貼っておき、移動だけで済むようにする
◯参観する際には、空いているところを選ぶ、進んで質問する、よいところを見つけるといったことを心がけるよう指示する
☆友達の考えのよさを認め、自分の生活や地域をよりよくすることにつなげて考えている(発言) |
・評価 自分たちのロボットの特長と実現可能にする技術の提案を発表し合い、身の回りや地域をよりよくすることについて考えることができたか。
準備環境
使用したプログラミング言語や実行環境
教室の設備
振り返り
児童の感想 友だちと協力して作ったり、先生にアドバイスをもらって活動できた。 どんなロボットがあったらいいか、より良い生活になるかを考えて新しいロボットを作ることができた。
実際にembotを導入してみてはじめに感じたことは、ビジュアルプログラミングの時以上に子供達の活動のねらい、想像力が焦点化し、より創造的になることに驚きました。当然、扱う学習内容によってその良さは様々な現れ方があると思います。 また、それ以上に私自身喜びを感じた面が、子供たちが考え出したアイデアやそれまでに培ってきた学びの成果を社会に直接結びつけることができることです。ビジュアルプログラミングでも世界中の人々と繋がり社会や文化を学ぶことができましたが、アイデアを具現化できるロボットは、実社会に直接結びつきやすいので、子供達は学んだことを活用して実践したり、社会と結びつけたり発信したりすることで学ぶ価値を実感できていたことです。 embotは子供達がイメージするロボットと比べると、充分な機能が備わっていませんがそれが逆に子供達の創造力を刺激したようです。充分に機能が揃っていれば機能を優先させて考えてしまったり、その機能を理解することに時間を費やしたりと、その機能の幅自体が子供達の想像力の幅を狭くしてしまう可能性もあります。そのような心配を考えると、フィジカルコンピューティングで新しいものを創造する体験をする導入においてembotが適切であることを強く実感しました。「導入に」と述べましたが、導入だけに留まるのではなく、言葉があっていないかもしれませんが「未完成」だからこそ「最強」であり、これからどんな形にもなれるし、どんな機能も搭載できるということです。 子供達が私の想像の幅をNTTDocomoさん、開発者の想像を超えたロボットを作り出す瞬間を迎えることが授業のたび楽しみです。 栃木県大田原市立大田原小学校 黒田充教諭 (特非)みんなのコード 主任講師 竹谷正明
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