身の周りのコンピュータで暮らしを便利にすることを学ぶ・体験する(総合)

教科の学びでのポイント

  • 自分たちの暮らしとコンピュータの関係を学び、プログラミングでどのように暮らしが便利になるかを考える
  • コンピュータを使って、よりよい生活や社会の担い手になることを体験する

単元の目標

身の周りや社会の中で利用されているコンピュータが動くためにはプログラムが必要であることを理解し、意図した動作をさせる体験を通して、主体的にコンピュータを役立てようとする態度を育てる。

プログラミング的思考とのつながり

新学習指導要領では、「第5章 総合的な学習の時間」において次のように記述されている。

  プログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付けるための学習活動を行う場合には、プログラミングを体験することが、探究的な学習の過程に適切に位置付くようにすること。

 探究的な学習とは、①課題の設定→②情報の収集→③整理・分析→④まとめ・表現といった学習活動を発展的に繰り返していく営みである。子どもたちの問題意識を揺り動かし、具体的な活動をとおして課題解決に向けて思考や表現を進めていく。そのときに重要になるのが、よりよい生活や社会の創造を目指す態度である。新学習指導要領解説 総合的な学習の時間編では、

  プログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付けるための学習活動を行う場合には、プログラミングを体験することだけにとどまらず、情報に関する課題について探究的に学習する過程において、自分たちの暮らしとプログラミングとの関係を考え、プログラミングを体験しながらそのよさや課題に気付き、現在や将来の自分の生活や生き方と繋げて考えることが必要である。

とされている。

 本単元の展開は上記のような内容として位置付けられることをねらいとしている。

評価規準

関心・意欲・態度 思考・判断・表現 知識・理解
現代の生活に欠かせないコンピュータに関心をもち、主体的に役立てようとする。 コンピュータを意図したとおりに動かすために、適切な記号の組み合わせ方を考える。 コンピュータはプログラムによって動いており、得意なこととそうでないことがあることを理解する。

単元について

現代社会においてコンピュータやネットワークは私たちの生活になくてはならないものになっている。子どもたちの身の周りでもたくさんのコンピュータが使われている。最近の家電製品は表から見えない形でコンピュータが組み込まれたものがほとんどである。そういったたくさんの便利な道具も、子どもたちにとっては生まれたときからあるのが当たり前で、その仕組みを意識することなく使っていることが多く見られる。

 しかし、今後の社会においては、人工知能やロボットなどの技術革新が進み、これまで人間が行っていた作業の多くを機械やシステムが代替することが多くなっていくと考えられている。その特性や人間のよさについての理解がないままで与えられたものを使うのみでは、新しい価値をつくり出していくことは難しい。さまざまな技術革新のベースになっているコンピュータがどのようなものでどのように動いているのかを理解することが必要になる。その上で、コンピュータを問題解決にいかに活用していくかを考える力がこれからの時代に求められる資質・能力となる。

 そこで本単元では、まず身の周りにあるコンピュータに気付かせることでその仕組みに意識を向けさせる。次に、身体やワークシートを使った作業をとおしてコンピュータがプログラムによって動いていることを実感的に理解させた上で、ブロック・プログラミング教材で画面上のキャラクターを思い通りに動かすことを体験させる。そしてコンピュータの特性やプログラミングについて学んだことを自分の生活や社会の改善に活かすことを考えていくように導いていく。

学習指導計画(全5時間)

学習活動 留意点・評価
コンピュータが身の周りや社会の中で役立っている例について知り、それがプログラムによって実現されていることを理解する。 ○児童の生活経験に応じた例を取り上げ、興味関心を高めるようにする。

☆コンピュータが使われているものが数多くあることに気付き、どのようにして動いているかに関心をもつ。

コンピュータが得意な「繰り返し」・「条件分岐」・「順次処理」について体験的に理解する。 ○体を動かしたりやワークシートに記入したりする活動を通して、実感をもって理解できるようにする。

☆「繰り返し」・「条件分岐」・「順次処理」の意味を理解している。

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プログラミング教材(Hour of Code)を利用して実際のコンピュータでのプログラミングに取り組む。 ○基本的な使い方を知らせるのみに留め、できるだけ自力で課題解決に取り組むようにする。

○児童相互の教え合い活動を促す。

☆意欲的に課題解決に取り組み、「繰り返し」などを適切に利用している。

5 コンピュータをこれからの生活や社会をより良くするために活用することを考える。 ○身近な物にコンピュータを組み合わせることを考えさせる。

○生活や社会がどのように改善されるか考えさせる。

☆コンピュータを活用する具体的なイメージをもつことができる。

本時について

【第1時】

目標 コンピュータが日常生活や社会の中で役立っている例について知り、それがプログラムによって実現されていることを理解する。

展開

学 習 活 動 ◯指導上の留意点 ☆評価
5 家の中にコンピュータを見つけることができる。

コンピュータと私たちの生活について考えよう
パソコンだけでなく、家電製品などにも組み込まれていることに気付かせる。
30 ・コンピュータが役立っている例を学級で20考える。

・出された例から各自1つ選び、「どんなはたらきをしているか」「それがないと困ることはどんなことか」を考える。

・小グループで選んだものの中から一番わかりやすくおもしろいと思うものを決める。

・全体で発表し合い、共通しているところについて話し合う。

・家の中だけでなく、学校、街の中などいろいろな視点を与え、多様に考えられるようにする。

ワークシートに記入させる。

なぜそれを選んだのか、理由も含めて発表することを知らせておく。

10 気付いたこと、考えたこと、もっと知りたいことをワークシートに記入して交流し、ふり返りをする。 コンピュータがどのような仕組みで動いているのかという疑問があれば取り上げる。なければ教師から投げかけて次時につなげる。

 

【第2時】

目標 コンピュータが得意な「繰り返し」・「条件分岐」・「順次処理」について体験的に理解する。

展開

学 習 活 動 ◯指導上の留意点 ☆評価
7 前時の学習を想起し、コンピュータが動く仕組みに関心をもつ。

コンピュータになったつもりではたらきを調べよう
前時の資料を提示し、学習したことを確認する。
10 ・手を挙げたら提示されたダンスを3回くり返す。

自分でカードを組み合わせてダンスをつくり、発表する。

発表されたダンスを、発表した人が手を挙げるまでくり返す。

コンピュータは決まったことをまちがえずに何度でもくり返すのが得意であることを理解する。

・「はく手」、「キック」などのカードを組み合わせてつくったダンスを提示する。

カードに書かれている命令のとおりに動くことを確認する。

長くくり返すと疲れてしまったりまちがえてしまったりすることに気付かせる。

10 ・天候などに応じて服装を変えていることを想起し、条件に応じた服装を適切に選択する。

時間があれば自分で考えた条件を発表する。

・コンピュータはあらかじめ設定された条件に従って動作を変えるのが得意であることを理解する。

ワークシートに記入させる。
10 ・そのままではうまく動かない手順を提示する。

うまく動くようにするにはどうしたらいいか考える。

コンピュータを意図したとおりに動かすには手順の一番最初から順序よく考えることが大切であることを理解する。

・プログラムを作る人のことをプログラマーと呼ぶことを知らせる。

児童の実態によってはプログラムの不具合をバグということを知らせる。

8 本時のふり返りを行い、次時への意欲をもつ。 ・本時の学習でわかったことを児童の言葉でまとめる。

・コンピュータは「繰り返し」・「条件分岐」・「順次処理」が得意であることを理解している。(発言・ワークシート)

本時の活動は実際のコンピュータをまねしていることを確認し、次時に本当のコンピュータでのプログラミングを行うことを知らせる。

 

【第3・4時】

目標 実際のコンピュータでのプログラミングに取り組み、意図したとおりに動かすにはどのようにブロックを組み合わせたらよいか考える。

展開

学 習 活 動 ◯指導上の留意点 ☆評価
3 プログラミングについて既知のことを話し合い、本時の活動について確認する。

プログラミングでキャラクターを思いどおりに動かそう
文字を入力するのでなく、ブロックを組み合わせてキャラクターを動かすことを知らせる。
10 ・Hour of Codeの「古典的な迷路」の画面を見て、部分の役割を知る。

ステージ1~3の示範を見て、基本的な操作方法を理解する。

・左上…キャラクターが動くエリア

左下…説明や注意が書かれたエリア

中央…使えるブロックのあるエリア

右…ブロックを並べるエリア

ブロックを運んでつなげる、つなげたブロックを離す、いらないブロックを消す、実行する、リセット、最初からやり直すというそれぞれの操作方法について確認する。

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(5)

・各自でステージに取り組む。

「古典的な迷路」をクリアしたら、他のコースを選んで取り組む。

(休憩)

・できるだけ自力で解決させるようにする。

どうしてもわからないときは隣や近くの人に聞くようにさせる。

ステージ9の「繰り返し」がわかりにくいので、紙や黒板に書き出して理解させるようにする。

順調に進んでいる場合は、規定のブロック数でクリアすることを助言する。

12 ふり返りを行う。 気付いたことや考えたことをワークシートに記入し交流させる。

 

【第5時】

目標 コンピュータをこれからの生活や社会をより良くするために活用することを考える。

展開

学 習 活 動 ◯指導上の留意点 ☆評価
5 第1時の学習を想起し、本時のめあてをつかむ。

コンピュータを役立てることを考えよう
必要に応じてワークシートに書いたことを提示する。
30 ・コンピュータが使われていないと思うものを学級で20挙げる。

出された例から各自1つ選び、コンピュータを組み合わせると「どんなところが便利になるか」「それがあるとうれしいのはどんなところか」を考える。

小グループで選んだものの中から一番わかりやすくおもしろいと思うものを決める。

全体で発表し合い、共通しているところについて話し合う。

・家の中だけでなく、学校、街の中などいろいろな視点を与え、多様に考えられるようにする。

ワークシートに記入させる。

なぜそれを選んだのか、理由も含めて発表することを知らせておく。

10 気付いたこと、考えたこと、これからやりたいことをワークシートに記入して交流し、ふり返りをする。 ・出されたアイデアが実現できるかもしれないという期待感とそのためにはプログラミングが必要であるということを確認する。

学習したことからコンピュータを活用して、生活や社会をより良くすることを考えている。

 

準備環境

使用したプログラミング言語や実行環境

教室の設備

  • 実施場所:インターネット接続可能な教室
  • ICT環境:PCまたはタブレットを児童1人1台ずつ使用。2人で1台でも授業実施可能。

振り返り

 

児童

 将来、こんなことがあったらなどを考えることができた。
コンピューターやロボットが続けて動いたりするのは、プログラミングのおかげだと思った。
自分で考えて自由にできるところが楽しかった。やっている間に「こうしたらいいんじゃないか」とか、工夫がどんどん思いつくのが楽しかった。
 
・「プログラミング」と聞いて、個人が黙々とパソコンに向かうイメージを持っていたが、そのイメージが変わった。
・子どもたちは非常に活き活きとした表情で課題に取り組んでおり、会話も弾んでいた。 プログラミング教育必修化への不安が払拭された。
・自分が実際に授業を行う際にも、この授業形式なら活用できそうだと思いました。
・講座の始まるだいぶ前から子どもたちがパソコンの椅子に座り、まだかまだかとプログラミングの授業を受けたいという気持ちを強く感じた。

教員メンター

(特非)みんなのコード 代表理事 利根川裕太

中学年でブロックプログラミングを体験しておくと、高学年の教科の学習でブロックプログラミングを取り入れた授業をするときに効率よく実施することができます。